痛みは往々にして動作のエラーによって引き起こされます。
しかし、ひとたび痛みが生じてしまうと痛みそのものが独立し、さらにその痛みが動作にさらなるエラーを引き起こすという悪循環が生じます。
エラーは、①低負荷で動員される筋群の活動変化、②表層の筋群の活動変化が主に起こります。
①低負荷で動員される筋群の活動変化は、本来そうした筋群が担う働きを行わなくなるという問題が引き起こされます。
低負荷というのは、例えば日常生活の動きのようにほとんど負担なく行える動作のことです。
本来こうした動作はそれに見合った、「発揮筋力は弱いけど持久力が高い」筋肉によって担われます。
持久力が高いため日常生活動作のように頻度の高い動きにも難なく対応できます。
しかし痛みが生じるとこれらの筋群は普段の働きを放棄し、「強い力の発揮」が要求される場面で働こうとするようになります。
それに合わせて②の問題が浮上します。
低負荷を担う筋群が高負荷の動作に働くため、本来は高負荷の動作で働く表層の筋群が低負荷で働くという機能の逆転が起こります。
高負荷で働く筋群は疲労に対する耐性が高くありません。
加えて、日常生活のような繊細な動きの調整にもあまり役立ちません。
すると微細ダメージが積み重なり新たな損傷へと繋がることもしばしばです。
この機能の逆転によって、痛みが生じた場合、痛みを我慢できる限り強い力の発揮はあまり損なわれず、反対に弱く繊細で持久的な動きに対する脆弱性が出てしまうという事態に陥ります。
したがって、痛みの改善とは別にこれらの機能を再逆転させ、正常に戻すという訓練が必要になります。
こうした訓練は非常に軽い負荷で何度も何度も反復するような運動が必要です。
コメント