運動に伴う筋肉痛は、運動中、運動直後から運動数時間後あるいは数日後に発生します。
このような痛みの原因は、筋線維や筋膜の部分的な断裂、筋の疲労、痙攣とされています。
中でも、我々が一般的に言う「筋肉痛」は運動中や運動直後には痛みが生じず、さらに運動が未熟な筋肉によく起こることで知られています。
このように運動後数時間経過してから痛みが現れ、24~72時間後にピークに達し、1週間程度で消失する痛みを「遅発性筋肉痛(DOMS)」と呼びます。
このDOMSですが、未だはっきりとした原因は分かっておらず、また確固たる対処法もないと言われています。
最近では筋損傷に伴う炎症が原因であるとか運動に伴う活性酸素が原因であると考えられています。
「筋損傷に伴う炎症」説
運動中、筋肉に強い負荷をかけるとその筋肉群や周辺の結合組織の損傷が起こることがあります。
そうした損傷によって生じる炎症反応がDOMSを引き起こすのではないかというがひとつの仮説です。
実際に筋肉痛が起こりやすい遠心性収縮を行ったあとの筋線維や結合組織には筋損傷が生じやすいと言われています。
「活性酸素」説
一方で、筋肉痛は筋損傷を起こすほどではないレベルの負荷でも起こるため、別の原因もあるのではないかとされています。
それが運動によって発生する活性酸素です。
活性酸素は運動そのものの他に筋や結合組織の損傷でも誘発されることから、負荷の低い場合でも高い場合でもどちらも筋肉痛の原因として考えることができます。
筋肉痛の抑制・軽減
DOMSの抑制および痛みの軽減にはたくさんの手段がありますが、いずれも明らかな効果は認められていません。
炎症が原因のひとつとされているため、アイシングなどの炎症処置が効果的であると言われることもありますが、はっきりとした結論は出ていません。
その他、種々の抗炎症薬・鎮痛薬、ビタミン摂取や糖質摂取、マッサージやストレッチ、電気治療などいずれにおいても効果は認められていません。
軽運動およびクールダウン
ですが多くの研究で筋肉痛の主観的な度合いを軽減させるものとして、運動後の軽運動およびクールダウンが挙げられています。
運動後に十分な時間の軽運動、たとえばジョギングやランニングなどを行うことで筋肉痛が軽減するとのことです。
これはおそらく運動後の血流停滞を抑制し活性酸素やその他代謝産物の除去に働くためであるとされています。
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