筋肉に生じる痛みには、運動に伴うものや反射性筋収縮による痛み、筋筋膜性疼痛症候群、線維筋痛症、緊張による頭痛や頚部痛、背部痛、弱化した筋や伸張性の低い筋への過剰な負荷、過剰な伸張によって起こる痛みなどさまざまです。
国際疼痛学会では、こうした筋肉に生じる痛みを疾病として考え、線維性筋痛症候群、筋筋膜性疼痛症候群、顎関節機能障害症候群に分類しました。
線維性筋痛症候群(線維筋痛症)
線維性筋痛症候群とは、全身に及ぶ慢性的な筋肉痛があり、関節可動域の減少、疲労感や睡眠障害などが現れる症候群です。
40〜60歳代の女性に多く、検査上では異常がないことがほとんどで自律神経障害はありませんが、倦怠感、こわばりが全身性にみられ、広範囲の圧痛点があります。
線維性筋痛症候群はびまん性筋膜性疼痛症候群や結合組織炎などとも呼ばれます。
激しい痛みを訴えることも多く、また本来痛みを生じる刺激ではない軽い刺激でも痛みを感じるアロディニアと呼ばれる症状も現れます。
その他、うつ症状、自律神経失調なども起こるとされています。
治療法
治療法としては、薬物療法や心理的療法などが効果的と言われており有酸素運動も効果的であると言われています。
筋筋膜性疼痛症候群
筋筋膜性疼痛症候群と線維性筋痛症候群の類似点は、筋の疼痛、関節可動域の減少・姿勢不良です。
筋筋膜性疼痛症候群は、筋に圧痛点、トリガーポイント、索状硬結があり、痛みは異常筋に限局していることがほとんどです。
硬さ(索状硬結)のある異常筋は痛覚過敏部位(トリガーポイント)があり、これを指などで刺激すると、そこから離れた部位やその深部に痛みや異常感覚が現れます。
トリガーポイントを刺激すると、飛び上がるほどの痛みが起こり、立毛や発汗といった自律神経の反応も現れます。
さらに異常筋から離れた部位にも痛みを伴うことがあり、この関連痛の有無は筋筋膜性疼痛症候群と線維性筋痛症候群を分けるものにもなります。
筋筋膜性疼痛症候群が起きる最も多い原因は、筋肉に対する過剰な負荷や疲労で、ストレスなどの中枢神経系からの影響や、心臓・胆嚢の疾患などに併発することもあります。
その他、しびれや感覚異常なども起こります。
互いは移行しうる
線維性筋痛症候群は筋筋膜性疼痛症候群に移行し得ることもあり、またその逆も、両者が存在する場合もあります。
治療法
本来的には筋肉の使いすぎや過剰な短縮、伸張が原因であるため、運動療法や徒手療法、物理療法などが行われます。
また姿勢不良が起こるため、姿勢の改善や関節可動域向上なども目的とします。
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