肩峰下インピンジメント症候群とは
肩峰下インピンジメント症候群とは、肩のインナーマッスルである回旋筋腱板や肩内部のクッションを担う滑液包のひとつの肩峰下滑液包が、肩の構造の一部である烏口肩峰アーチに繰り返し衝突することによって、炎症・変性が生じる病変を指します。
肩峰下滑液包への繰り返す負荷は肩峰下滑液包炎を招き、回旋筋腱板への過剰な刺激は最終的には腱板断裂に至ります。
頻繁な肩峰下へのストレスは骨棘形成に至ることがあり、慢性的な痛みへと繋がることがあります。
棘上筋は烏口肩峰アーチの直下を通るという構造とその機能から回旋筋腱板のなかで最も障害されやすいと言われています。
症状
限定された角度内での痛みや運動制限が主症状となります。
肩関節の外転60〜120°の間で強い痛みや引っ掛かりを感じ、それ以外では症状が軽いことが多いとされています。
中には夜間痛が起こる場合もあります。
反復性のストレスによる障害であるため、野球や水泳、テニスやバレーなどのスポーツ選手に多いとされています。
発生しやすい人
肩関節に反復的に負荷がかかる野球や水泳、バレー、テニスなどのスポーツに従事している人に発生しやすいと言われています。
特に野球のピッチャーや水泳の自由型選手の多くに、肩峰下インピンジメントになり得る肢位が見られるといいます。
またそれ以外では、肩峰の彎曲の強い人や肩峰先端に未癒合の骨化核(肩峰骨)がある人には発生しやすいと言われています。
経過
肩峰化インピンジメントの多くは棘上筋の問題に由来するとし、その病変を3期に分けています。
第1期(急性炎症期)
外傷や反復するストレスにより棘上筋腱に出血と浮腫が発生します。
安静に努めることで時間とともに消退します。
好発年齢は25歳以下です。
第2期(亜急性炎症期)
ストレスが続くと棘上筋腱や滑液包が線維化し慢性腱炎となります。
一時的には炎症は消退しますが過度な患部の使用で再発します。
好発年齢は25〜40歳です。
保存療法が基本ですが軽減しない場合は肩峰下滑液包切除・烏口肩峰靭帯切離が適応となります。
第3期(腱断裂期)
棘上筋腱・肩峰下滑液包・烏口肩包靭帯などに変性が生じ、腱板が断裂したり肩峰下滑液包炎に至ります。
好発年齢は40歳以上であり、手術が適応となります。
治療
治療としてはスポーツ従事者の場合、急性期は冷却や安静が大切です。
基本的な治療としては痛み止め注射を打ち日常生活を送ります。
症状が改善されない時には、医師に診断を受けましょう。
また再発の恐れもあるため、根本的な運動パフォーマンスの改善も行う必要があります。
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