睡眠中、突然身体が動かなくなる金縛りは、何か声が聞こえたり、見えるはずのないものが見えたなど心霊現象の一つとして語られます。
この現象の実態はリアルな夢を見ながらも、脳が体を認識してしまっていることによるものなのでした。
ノンレム睡眠とレム睡眠の違い
我々は、ノンレム睡眠とレム睡眠を交互に経験しています。
通常は眠り始めに、脳も身体も休んだ深い眠りのノンレム睡眠が訪れます。
そしてそれから約90分後、身体は休息したまま脳は活性化されている浅い眠りであるレム睡眠が訪れます。
このようにしてノンレム睡眠とレム睡眠が約90分おきに交代で出現します。
睡眠の乱れがあると
しかし睡眠障害やストレス、生活習慣などによって睡眠時間が不規則になると、この順番がくずれることがあります。
その結果、眠り始めに本来現れないはずのレム睡眠がでてしまうのです。
そしてその場合のレム睡眠中に経験する症状が金縛り=睡眠麻痺となります。
レム睡眠の特徴
人はノンレム睡眠でもレム睡眠でも夢を見るとされています。
しかしノンレム睡眠で見る夢は、概念的であり覚えていないことがほとんどです。
一方、レム睡眠ではストーリー性のある夢を見ます。
レム睡眠時には脳の視覚や感情を司る部位が強く活性化されるため、感情や視覚情報に富んだ夢をみるという仕組みです。
基本的にレム睡眠中は、脳の働きによって身体が動かない状況を認識できません。
夢の記憶もおぼろげな状態です。
ですが入眠直後にレム睡眠が現れた場合には、身体が動かないことを認識でき、夢をリアルなものに感じるのです。
これが金縛りの正体だと言われています。
対策は
入眠に気を配りましょう。
部屋は就寝前から暗くし、スマホやTVは控え、入浴も直前にはしないようにしましょう。
入眠時の姿勢や寝具や衣類も睡眠の質に影響するため、自身にあった適切なものを選びましょう。
参考
Nightmare Disorder and Isolated Sleep Paralysis – Neurotherapeutics volume 18, pages100–106 (2021)
https://link.springer.com/article/10.1007/s13311-020-00966-8
E.カンデル カンデル神経科学第一版第四刷 MEDSi 2020 p.1116-1119
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