身体研究家のなかしま (@Re2054)です。
僕はこれまで、歩くのも大変だった両側の変形性膝関節症のクライアントを指導して、週6日趣味のテニスを楽しめるところまで改善を手伝ったことがあります。
改善したと言っても加齢とともに生じる変形なので、ある日を境に治るというものではありません。

つまりテニスができるだけの筋力や関節の健康状態になったということですね
疾患がそれ以上悪くならないためにも筋トレや有酸素運動を行ったわけですが、実は変形性膝関節症の痛みの緩和そのものにも筋トレや有酸素運動が効果的だということが分かっています。
変形性膝関節症に対する効果
広島国際大学の田中ら(2013)がこれらに関する文献をレビューした所、筋力強化も有酸素運動もいずれも全体的に効果が有意であったとしています。
とりわけ、
体重をかけない筋トレが通常の筋トレや有酸素運動に比べて高い疼痛緩和効果が得られた。[1]
とのこと。
体重をかけない筋トレ
体重をかけない筋トレとなると、有名なのがパテラセッティングです。
絶対的な筋力強化というよりも然るべきタイミングで筋力発揮ができるように鍛えるトレーニングです。

動画では分かりやすいように曲げ伸ばしを行っていますが、膝を伸ばしたまま太ももの前に力を入れたり抜いたりするという方法が一般的です。
特に膝の角度が浅い段階での筋力発揮が大切です。
筋力強化運動の種類
筋力強化運動の種類には、求心性運動、遠心性運動と等尺性運動があります。
遠心性運動 = 筋肉が伸びながら力を発揮する
等尺性運動 = 筋肉が長さを変えずに力を発揮する
一般に遠心性運動が最も効率がよいとされていますが、変形性膝関節症の痛み改善に関しては求心性運動が効果的だとされています。[2][3]
また、運動による疼痛緩和(EIH)を誘発するには等尺性運動や有酸素運動も重要だとされており、これらのプログラムの組み合わせも有効だと考えられます。
結論
多くの疼痛改善と同様に、変形性膝関節症患者においても運動は有効に働きます。
筋力強化プログラムとして求心性運動と等尺性運動を組み合わせ、有酸素運動を取り入れたアプローチを行うことが重要だと考えられます。
基本的には非荷重位でのエクササイズを中心に組んでいくと良いでしょう。
参考
1.Ryo Tanaka, Junya Ozawa, Nobuhiro Kito et al. Efficacy of strengthening or aerobic exercise on pain relief in people with knee osteoarthritis: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials, sage journal July 4, 2013
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0269215513488898
2.Claire Minshull , Nigel Gleeson, Considerations of the Principles of Resistance Training in Exercise Studies for the Management of Knee Osteoarthritis: A Systematic Review, Arch Phys Med Rehabil 2017 Sep;98(9):1842-1851. doi: 10.1016/j.apmr.2017.02.026. Epub 2017 Mar 31. https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0003999317302149
3.Kevin R Vincent , Heather K Vincent , Concentric and Eccentric Resistance Training Comparison on Physical Function and Functional Pain Outcomes in Knee Osteoarthritis: A Randomized Controlled Trial , Am J Phys Med Rehabil. 2020 Oct;99(10):932-940. doi: 10.1097/PHM.0000000000001450. https://journals.lww.com/ajpmr/Fulltext/2020/10000/Concentric_and_Eccentric_Resistance_Training.14.aspx
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