痛みは動作に影響を及ぼします。
人は痛みがあると、痛む場所を守るために関節の動きを小さくしたり、反対側へ体重を逃がしたり、身体を強く固めたりします。
こうした反応は、痛みがある時期には身体を守るために必要です。
しかし、痛みが引いたあとも、その動き方が残っていることがあります。
痛みがなくなったことと、身体の動きが元に戻ったことは同じではありません。
痛みによる代償動作
痛みによって本来の動作が難しくなると、身体は別の部位を使って動作を続けます。
たとえば膝が痛ければ反対側の脚へ体重を逃がし、股関節が痛ければ腰や骨盤を大きく動かして補います。
このような代償動作が長く続くと、
- 特定の筋肉ばかりが働く
- 使わない筋肉の機能が低下する
- 関節を動かす範囲が狭くなる
- 動きやすい方法だけが定着する
といった変化が起こります。
その結果、痛みが軽くなったあとも、身体の使い方だけが元に戻らないことがあります。
改善のためには
改善するためには、筋力トレーニングやストレッチを行うだけでなく、痛みが出ていた動作をもう一度確認します。
- 痛い側へ体重をかけられるか
- 必要な範囲まで関節を動かせるか
- 身体を過剰に固めていないか
- 左右で大きく違う動きをしていないか
- 繰り返しても動作を保てるか
などを見ていきます。
動きにくさが残っている場合には、行いやすい条件から練習します。
たとえばスクワットであれば、浅い範囲や椅子を使った方法から始めます。
歩行であれば、短い距離や小さな歩幅から始めます。
痛みを避ける動作から、必要な負荷を受け止められる動作へ戻していくことが大切です。
エクササイズを動作につなげる
筋力や可動域を改善しても、それが日常動作で使えるとは限りません。
殿筋を鍛えても、階段で痛い側の脚へ体重をかけられないことがあります。
腹筋を鍛えても、物を持つたびに呼吸を止めて身体を固めていることがあります。
そのため、エクササイズで得られた機能を、
- 歩く
- 立ち上がる
- しゃがむ
- 階段を上る
- 物を持つ
- 押す・引く
- 走る・跳ぶ
といった動作へつなげていきます。
最初は軽い負荷から始め、動く範囲、回数、負荷、速度を少しずつ増やします。
鎮痛剤を使うと
痛みが強いときには、鎮痛剤によって症状を抑えることがあります。
痛みが軽くなれば、睡眠や日常生活が楽になり、身体も動かしやすくなります。
ただし、鎮痛剤によって痛みが軽減しても、筋力や可動域、持久力、動作まで同時に回復するわけではありません。
痛みが軽くなった時間を利用して、安全に身体を動かし、失われた機能を取り戻していきましょう。
早期の復帰は?
必要以上に長く安静にすると、筋力や持久力、関節の動きが低下します。
そのため、可能な範囲で早く日常生活や運動へ戻ることは大切です。
ただし、早期復帰とは、痛みを我慢して以前と同じ負荷へ戻ることではありません。
まずは、
- 基本的な動作を行える
- 軽い負荷を繰り返せる
- 運動後に大きく悪化しない
- 翌日に強い痛みが残らない
ことを確認します。
そこから、運動時間や回数、負荷、速度を段階的に高めていきます。
何をもって回復とするのか
痛みの強さは、回復を判断する大切な材料です。
それに加えて、
- 歩ける距離が伸びた
- 痛い側へ体重をかけられる
- 階段を楽に使える
- 繰り返し物を持てる
- 運動後の痛みが早く軽快する
- 仕事やスポーツに必要な動作ができる
といった変化も見ていきます。
痛みが引くことを回復の終わりにせず、再び安心して動けるところまで取り組む。
これが、痛みが引いたあとにも運動が必要な理由です。



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