むち打ちは、交通事故によって起こる代表的な首の損傷です。
後方から追突されると、身体が先に前へ押し出され、頭部が遅れて後方へ動きます。その後、反動によって頭部は前方へ振られます。
正面衝突では、これとは反対に頭部が前方へ振られます。
実際の事故では前後の動きだけでなく、首の回旋や側屈が加わることもあり、筋肉、靭帯、関節包などに大きな負担がかかります。
ヘッドレストは頭部が後方へ大きく動くことを防ぎます。そのため、頭の高さに合わせて適切に調整しておくことも大切です。
首の筋肉や靭帯への負担
頭部が急激に動かされると、首の前後にある筋肉や、頸椎を支える靭帯、関節包が引き伸ばされます。
その結果、
- 首の痛みやこわばり
- 首を動かせる範囲の低下
- 頭痛
- 肩や肩甲骨周辺の痛み
- 頭を支え続けると疲れる
- 長時間同じ姿勢を保ちにくい
といった症状が現れます。
事故直後にはあまり痛くなくても、数時間後から翌日にかけて症状が強くなることもあります。
首前方の筋肉の機能低下
首の前方深部には、頸長筋や頭長筋などの深頸屈筋群があります。
これらの筋肉は首を曲げるだけでなく、頭部と頸椎を細かく支え、動きを調整しています。
むち打ちの後には、深頸屈筋群の筋力や持久力、活動するタイミングが低下することがあります。
その一方で、
- 胸鎖乳突筋
- 斜角筋
- 僧帽筋上部
などの表面にある筋肉を強く働かせ、首を固めようとします。
これによって、
- 首や肩が常に緊張する
- 小さな動きでも疲れる
- 呼吸が浅くなる
- 肩甲骨や胸郭を動かしにくくなる
といった問題につながります。
むち打ちは骨だけでなく、首を支える筋肉と神経の連携にも影響を及ぼします。
まずは医療機関を受診する
交通事故後の首の痛みに対して、すぐにマッサージやトレーニングを行うべきではありません。
まずは医療機関を受診し、骨折、脱臼、神経損傷、頭部外傷などがないかを確認します。
特に、
- 手足にしびれや力の入りにくさがある
- 歩きにくい
- 意識がもうろうとする
- 強い頭痛や吐き気がある
- 首の中央部に強い痛みがある
- 症状が急激に悪化している
場合には、早急な確認が必要です。
回復のためには
重篤な損傷がないことを確認できたら、症状に合わせて少しずつ身体を動かしていきます。
回復のためには、
- 首周辺の過剰な緊張を減らす
- 首を動かせる範囲を取り戻す
- 頭部を支える筋力と持久力を高める
- 肩甲骨や胸郭の動きを取り戻す
- 日常生活に必要な動作へ戻す
といったアプローチが必要です。
首を長期間まったく動かさずにいると、可動域や筋力が低下し、動かすことへの不安も強くなります。
そこで最初は、小さく頷く、左右を向く、肩を回す、歩くといった軽い運動から始めます。
運動後に大きく悪化しないことを確認しながら、少しずつ動く範囲や運動量を増やしていきます。むち打ち関連障害では、日常活動をできる範囲で維持し、可動域運動や筋力運動を段階的に行うことが勧められています。
パーソナルトレーニングではどう対応する?
医療機関で大きな損傷が否定され、運動を行える状態であることを確認してから始めます。
トレーニングでは、
- どの方向へ動かすと痛むのか
- 頭を支えるとすぐ疲れないか
- 首や肩へ力を入れすぎていないか
- 肩甲骨や胸郭を動かせるか
- 運動後や翌日にどう変化するか
を見ていきます。
強く揉んだり、勢いをつけて首を動かしたりする必要はありません。
本人が安心して動かせる範囲から始め、首を支える力と上半身全体の動きを少しずつ取り戻していきます。
むち打ちでは、無理に首を動かすことでも、長く動かさないことでもなく、安全に動かせる範囲を少しずつ広げることが大切です。



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