身体研究家のなかしま (@Re2054)です。
前回は解剖学でした。
解剖学では形状から読み解いていこうというのがテーマでしたね。
今日は生理学について。
生理学は
- 身体のこと
- 身体のなかで起きていること
- 身体内外の運動のこと
のうち、身体のなかで起きていることにあたりますね。
身体のなか、というと語弊があるというかたとえば消化器は厳密には体外ですから適当な言葉を当てるとすると、
身体でどのような活動が起きているかを解き明かす学問ですかね。
人間はちくわに例えられます。消化管はちくわの穴ですり身が身体。
生理学に関しては解剖学と違って専門用語の暗記が必要です。
とはいえ、生物や化学といった分野とオーバーラップするところもありますので、全く知らないってことはないと思います。
知っているところを取っ掛かりにしてそこから広げていくと覚えやすいかもしれません。
ということで今回は独学の進め方についてお話していきます。
まずは細胞から
そもそも生理学が、身体を構成する諸要素の活動を見ていく学問ですから、その最小単位の細胞から進めていくのがベターです。
なので、生理学のテキストは大抵細胞から始まっているので、そこから読んでいくと良いかもしれません。
代表的な生理学テキストの『標準生理学』や『ガイトン生理学』は第一部に『ギャノング生理学』は第二章にあるので、細胞から進めるのがやはり「基本」ですね。
基本的に、細胞に関してはどこかで学んでいるはずなので、比較的分かりやすいかと思います。
細胞から始まって、そこから地道に読み進めていけば理解できるような作りになっているのが生理学テキストですから、地道に読んでいきましょう。
加えて細胞からやっていったほうが良い理由が他にもありますので見ていきましょう。
生理学的な振る舞いの根幹では確実に細胞が働いている
当たり前ですが人間の生理学的な営みのほとんどは細胞の働きのおかげです。
ということは最初に細胞を学んでおけば、あとが進めやすいですよね。
疑問から追っていきやすい
「人間の生理学的な振る舞いの根幹では確実に細胞が働いている」わけですから、日頃抱きがちな疑問や普段何気なく説明している事柄から追っていくと分かりやすいですね。
たとえば「なぜ浮腫むのか」や「筋肉が電気信号で動いている」といった疑問や説明はトレーナーにとって一度は口にする言葉です。
そこについて説明しようとするなら細胞について知らなければなりませんから導入としてオススメです。
アニメ・漫画から学べる
なんだかんだ言って、ここが非常に大きなポイントです。
さあ勉強しようと思っていてもなかなか食指が動くものではないわけで、簡単に理解できれば苦労はいりません。
そういった人はアニメや漫画で生理学を勉強してみましょう。
『はたらく細胞』『はたらく細胞BLACK』
これは体のなかの細胞を擬人化してその働きを描いていくという漫画/アニメです。
細胞から進めていくと良いって話をしましたが、ここにもかかってくるんですね。
単に擬人化されているだけではなく、この細胞がどういう働きを持っているのか、特徴があるのか、がほとんど必ず説明されたうえで登場します。
これを読むことがめちゃくちゃ重要で、生理学(生物学)の理解につながります。
僕らトレーナーからするとBLACKのほうが身近というか相対しやすい問題ですので、そちらもセットで読んでいくもしくは見ていくことをオススメします。
初学者の場合は楽しみながら、ある程度勉強している人は、展開を予想しながら見ていけるようになっています。
マンガでわかる基礎生理学
こちらは、単純に生理学を生理学として漫画で読んでいこうという本です。
かなり初学者向けではありますが、苦手意識がある人はこのあたりから読んでいくと面白いかもしれません。
生理学は実際の運動が見えないので、どういう流れになっているのかなかなかイメージできないもの。
そうなると漫画やアニメーションで覚えるというのは非常にオススメです。
流れを意識する
生理学を勉強するうえで大事なのは流れを意識するということ。
当たり前ですが生きている理を解き明かす学問ですから、それ自体も生き物のように流動的です。
その流動的な全体のなかの一部分を切り取って教科書や本で解説しているので、それを読むときにはその流動性も意識していきましょう。
また体のなかで単独の事象が生じているわけではなく常に同時並行的にいろんなことが起きています。
点と点でただ単語や現象を覚えるのではなく線として考えていきましょう。
脳から筋肉へ
たとえば筋肉が働くことを考えてみましょう。
- 神経細胞の興奮
- 脊髄を下行して筋肉へと至る
- シナプス伝達
- 興奮収縮連関
非常に簡略化してますが、この流れで動いています。
それでもここで起きていることを抜き出してみると、多くの問いが立てられます。
- 細胞の興奮とは→静止膜電位→細胞膜の構造やイオン濃度勾配を理解する必要がある
- なぜ脳から送られた電気刺激が一瞬で筋肉へと至るのか→神経線維の太さやそこに巻かれている髄鞘や伝導の仕方を知る必要がある
- シナプスとは、神経伝達物質とは、興奮収縮連関とは何か
など、流れを意識して独学を進めていくと理解がスムーズになります。
と同時にエネルギー産生や代謝、内分泌系など関連性が特に見いだせるものを考えていくと良いでしょう。
生理学に興味を持っていきましょう
トレーナーが生理学を勉強するうえでネックになるのが「実際のトレーニングの活かし方が分からない」ということ。
ただ活かすも何も、生きている人間の身体に常に起きていることですから、知らないこと自体が問題なわけです。
隅から隅まで知っておきましょうというわけではありませんが、基礎的な部分を知っておく必要があります。
とはいえ興味がないのに勉強するのは苦痛かもしれませんので、まずは興味を持つところから始めましょう。
これまでたくさんのトレーナーの独学を支援してきましたが、解剖学に比べて生理学は不得意な人が多い印象です。
これを払拭するためにやはり漫画やアニメから学ぶことをオススメします。
一旦親しみを持ってから専門書などへ進んでいきましょう。
今回は生理学についてお話ししていきました。
次回は運動学について話していきます。
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