子どもと大人の形態的な違い
子どもと大人を比べると、さまざまな形態的特徴の違いがあります。
したがって大人では問題視されるような姿勢や形態を子どもが呈しているからといって即座に問題であるとは言えません。
例えば幼児の場合、大腿骨の頸体角という角度が大人と違うためどうしたって走り方が異なります。
それについて親御さんが不安になるということがよくあるようです。
特に骨や関節は重力の影響を受けて成長とともに変形していくため、幼児期の問題にそこまでナーバスになる必要はありません。
そうした問題のなかでX脚やO脚はよく取り沙汰される話題だと言えます。
X脚とO脚
X脚やO脚というのは、膝が外反しているか内反しているかの違いになります。
成人の正常な膝では、膝の外側が約5°反っており、軽度のX脚となります。
膝の角度と成長
成人では、正常が軽度の外反つまりややX脚ですが、新生児では平均15°内反しているO脚を呈しています。
そこから3歳前後までに10°外反し、X脚となります。
その後、成人までには約5°まで角度が減少します。
理由ははっきりとは分からない
このように下肢の形状が矯正されていく過程が、最初からそのように変化していくように組み込まれたものなのか、または重力や筋力といった負荷が繰り返しかかることで適応されていったのか、ということは詳しくは分かっていません。
幼児期のO脚に注意
乳児がO脚であるために、幼児期のO脚も至って正常だと言えます。
こうしたO脚は成長するにしたがい改善されていきます。
しかし、本来であればX脚に向かって矯正されていくO脚が逆に悪化していく場合もあります。
この場合、病的なO脚、いわゆるブラウント病やくる病と診断されます。
ブラウント病
ブラウント病は、幼児期や体重の多い青少年にも起こり得る疾患です。
軽度であれば自然治癒され、重度であっても年齢によって軽減するようです。
負荷の軽減や矯正具の使用によって改善されていきますが、進行していく場合には手術が必要になります。
また早期に立って歩く子ほど起こりやすいとも言われています。
くる病
くる病は骨軟化症とも呼ばれ、カルシウム、りん、ビタミンDの不足などが原因で起こります。
下肢の症状だけでなく、全身に症状が起こります。
そうしたことが原因のため、先述の装具などに加えて、日光浴やビタミン、カルシウムの摂取などによって改善されていきます。
ナーバスな問題ではない
最近では、ビタミンDの不足と乳幼児のO脚とが関連していると言われており、外で遊ぶことや栄養バランスよく食事を摂ること、早期に立ち歩かせすぎないことなどを意識していきましょう。
基本的には、重度でない場合には手術をせずに改善されるようです。
したがって、あまりナーバスに考えないようにしていきましょう。
参考
Blount Disease - The Journal of Bone & Joint Surgery(July 01, 2009 – Volume 91 – Issue 7 – p 1758-1776)
https://journals.lww.com/jbjsjournal/Abstract/2009/07000/Blount_Disease.26.aspx
An Overview of Rickets in Children – Kidney International Reports(Volume 5, Issue 7, July 2020, Pages 980-990)
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2468024920311657
コメント