年齢を重ねると、それまで負担がかかり続けた関節は変性を起こしやすくなります。
そのため高齢者の10〜20%は変形性股関節症が見られると言われています。
変形性股関節症
変形性股関節症は、関節軟骨の変性と摩耗、関節腔の減少、軟骨下骨の硬化、骨棘形成を主とした非炎症性の股関節疾患です。
進行すると骨増殖や骨吸収が関節周囲に生じ、関節が変形していきます。
初期症状としては立ち上がりや歩き始めといった動き始めに股関節周囲に痛みを感じます。
変形性股関節症は単純に痛みだけでなく、日常的な動作である階段の上り下り、入浴、着替え、低い椅子からの立ち上がりといったことが困難になります。
変形性股関節症の原因
通常、健康な人間の歩行中の股関節には体重の3倍の関節応力が加わります。
基本的には股関節・骨盤の靭帯や筋肉、その他全身の協調的な能力によりそれらを分散します。
しかし、関節応力を分散する十分な能力がない場合には、関節や関節軟骨はストレスに耐えきれず変性を起こし、形態が変化します。
そしてそれが改善されないままだと関節のアライメント異常や骨棘形成が引き起こされ、変形性股関節症へと進行します。
その他の症状として、股関節周囲の筋肉の萎縮と筋力低下、朝のこわばり、コツコツとしたクリック音、軟部組織の炎症、異常が見られる歩行、歩幅の変化などもみられるのが変形性股関節症です。
一次性と二次性に分けられる変形性股関節症
変形性股関節症は老化による軟骨の変性が原因と考えられる一次性と特定の原因が推定できる二次性に分類されます。
一次性変形性股関節症
一次性の変形性股関節症は特定の原因疾患がないもので、主に老化による軟骨の変性から進行する変形性股関節症です。
加齢に伴うものですが、必ずしも高齢者がこの疾患を発症するわけではありません。
二次性変形性股関節症
一方で、二次性の変形性股関節症は、特定できる疾患に引き続き起こる関節症であり、そのうち90%が臼蓋形成不全や先天性股関節脱臼が原因で、圧倒的に女性に多いとされています。
その他、大腿骨頭すべり症といった構造上の欠陥、近位大腿骨の異常形成、下肢長差、ペルテス病といった解剖学的非対称や異形成、不安定性といったものが原因となります。
変形性関節症の頻度は加齢とともに増加する。
あらゆる関節における変形性関節症の発症可能性は加齢とともに増加しますが、先述のように必ずしも高齢者がこの疾患を発症するわけではありません。
また変形性関節症の原因は複雑で、単に摩耗や損傷と決めつけることはできません。
また、度重なる物理的なストレスによって股関節が摩耗が加速するかもしれませんが、これが常に変形性関節症を起こすわけでもありません。
今現在では、変形性関節症と関連する可能性のあるメカニズムとして、遺伝学、免疫系因子、神経筋疾患や代謝的要因なども考えられているようです。
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