【第3回パーソナルトレーナー独学のすすめ】考えの根本について

独学のすすめ
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身体研究家のなかしま (@Re2054)です。

今日は僕自身の「自らの考え」について書いていこうと思います。

まずは僕の考えの源泉がどこからやってくるかを考えてみます。

それが「人間とはなにかの探求」

運動や身体について考えることが多いので「人間の運動や身体とはなにかの探求」といったところ。

なかしま
なかしま

人間の運動や身体なんて謎だらけなので、その謎を深く深く掘っていこうというのが僕の根源

人間の運動や身体の謎っていうのは考えれば考えるほど不思議なもので、僕の場合、トレーナーとしては非常にシンプルに物事を捉えるようになっています。

だけど探求という意味では、際限なく謎が降ってくるということで、興味がつきません。

人間の探求という意味では、世界ではかれこれ何千年もそうした試みをしているわけで、そのために僕は流行りの新しい知識だけでなくこれまでの歴史からも学んでいきたいと思ってるんですね。

なかしま
なかしま

第2回をまだ読んでいない方はこちらから

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最新か正しいか

現代に話を戻してみると、科学の発展はまさに日進月歩。

日々新たな発見が出てくるなかで、我々の生活を豊かにしてくれるものがたくさん生み出されています。

現代を生きる僕らの心情からすると、それらは「より精確」「より信頼のおけるもの」ですよね。

となるとトレーナーとしても、スポーツ科学やスポーツ医学は最新であるほど「正しい」だとか「正確」だと考えてしまうのは致し方ありません。

また歴史の浅いトレーニング科学では新たな発見以上に、昔は正しかったのが実は間違いだったという発見も数多くあります。

だけど、実は間違いじゃなかったと覆されることだってあるんですね。

たとえば最新の電化製品ですら何かしらの不具合があって回収を余儀なくされることがあるなかで、それがこと人間についての「最新」であれば全面的に了解というわけにはいきません。

つまり、今そのときは「正しいかもしれない」ぐらいで考えておくほうが良いと思っています。

『第1回独学のすすめ』でも述べましたが、温故知新つまり古きを訪ねることも大切です。

一旦ここで古きを訪ねてみましょう。

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故きを温めて新しきを知る

たとえば紀元前5世紀の医者へロディコス。

古代オリンピックの選手にスポーツマッサージを施す、結核患者を蒸し風呂、レスリング、マッサージなどで治療したり、薬草や油を使った食事を推奨していた
スポーツ医学の父とも呼ばれる。

上にあるように、へロディコスは独自の健康法を開発して、それらをさまざまな場面で役立てました。

現代に立ち返ってみると、いまとの関連を見出すことが出来ます。

蒸し風呂の一種であるサウナが全盛、トレーニングやマッサージは一般的になり、健康的な食事にはいの一番に地中海食が挙げられるほどです。

見比べてみると、

古代ギリシャ
・蒸し風呂
・レスリング、マッサージ
・薬草や油を使った食事

現代
・サウナ
・筋トレ、マッサージ
・地中海食や準菜食主義

どうでしょう。

ほとんど変わっていませんよね。

紀元前5世紀でこれですから、それまでの長い歴史でさまざまな発見があったはずだし、外見も中身もそこまで変わっていないのだとしたら、何かしらのヒントとなるものもあるはずです。

となると、これまでの歴史で人間の身体や運動、感覚や意識などに言及してきたテクストはどれも参考になるものばかりだと言えます。

なかしま
なかしま

ちなみにへロディコスは入浴法についても言及しており、その影響を受けた市民がギュムナシオン(今でいう複合スポーツ施設)に集まったことから、時代の変遷を経てローマ時代のテルマエ文化につながったとされています。

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人間の運動とは、身体とは、精神とは

僕が『人間の運動とは身体とは精神とは』と考えて学んでいることは、その意味ではここに関心を持って探求を進めた賢人がたくさんいたわけで、つまりその姿勢も学んでいることになります。

その姿勢を学ぶということは、拠って立つところがどこなのかを明らかにすることでもあります。

根底をそこに持っていくと、次は自分がどの立場を取りたいのかが見えてくるというものです。

立場というのは、どういう世界観でものを見るのかの表明のようなもの。

たとえば、精神と身体が別々に存在しているという立場の心身二元論をみていきましょう。

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心身二元論と機械論

実はトレーナーのほとんどは本人が気づかないうちにこの心身二元論に根ざしています。

この二元論はデカルトが提唱したもので、デカルトはそこからさらに「機械論」を醸成させました。

機械論は形を少しずつ変えながら現在でも我々の物の考え方に根付いています。

ここでデカルトが云々や二元論が云々は置いておいて、機械論の拠って立つところを見ていきましょう。

簡単に言えば、

身体は物体と同じく機械であり、自然や生命現象を機械的に物理的に見ていこうとする立場

です。

実はこの立場のおかげで僕らの世界もかなり住みよいものになっています。

 機械論は自然や社会、生物を扱うときに機械をモデルにして考えようという立場
 機械が発展するとそれに伴って考え方のモデルも発展するため、科学の進歩に貢献している

進みをみてみる

詳しい内容はいずれお話するとして、今回はその進みに焦点を当てましょう。

デカルトが精神と身体を別物として見ていくという見方を提唱し、その身体の物質性を機械になぞらえたとき、ある種の「拠って立つところ」が形成されたわけです。

すると、それを足がかりに賛同するもの批判するものが出てくることになり、賛同するものはそれを改良しようするし、批判するものはまた別の理論を提唱することになります。

結果的に見てみれば、機械論は非常に便利なもので多くの示唆を与えてくれるものになったというわけですね

時は流れて現代に生きるトレーナーはそうした何かしらの理論に「すでに拠って立ってしまっている」ことに気づかないまま過ごしていることになります。

そこに一旦疑いをかけること、または先人たちがやったように人間とは身体とは運動とは精神とは、といった問いを立てること、ボンヤリとした自分の考えが芽生え始めて、取るべき立場が見えてきます。

だからそうやって学んでいくうちに「私はこう考えます」となったり「私は全く同意しません」となれば、スムーズに事が運びます。

こうして取るべき立場が定まってくると、トレーナーとしての「自らの考え」も少しずつハッキリしてきます。

そんなものはいらないという人もいる

「そんなの必要ないし人間とは何かなんて興味はない。最新のエビデンスに則った科学的なアプローチでトレーニングすること、改善させることがすべてだ」という人はそれはそれで構いません。

それもまた明快で、自らの考えがハッキリしているし立場の表明もしてますからね。

あくまで『独学のすすめ』なので独学がサクサク進めば、それに越したことはありません。

というよりも僕もトレーナーを始めた頃はそうだったし、最新のエビデンスに則った科学的なアプローチは今でも大切だと思っています。

ただ根本として「人間(身体・運動・精神)とはなにか」があって、そこから掘り下げていったというだけですから。

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源泉はどこから

まずは考えの源泉がどこからやってくるのか、を気にしてみましょう。

何がなんでも痩せさせたいでもいいし、痛みを改善させるでもいい。

これが分かれば、あとは掘り下げることが大切です。

 やせる方法を学ぶ前にやせることそのものまたは太ることを掘り下げる
 痛みの改善法を学ぶ前に痛みそのものについて学ぶ。

こうして掘り下げていくうちに「私ならこう考える」が浮かび上がってきます。

やせることについて掘り下げるということは、その手段だけではなくその仕組みその意味、その他の多くに関わっていくということです。

それを続けることで、「やせるとは何か」「痛みとは何かに」関して自らの見解が出来上がっていくはずです。

それが前回の「哲学」や「信条」となってそれがクライアントに対しての考え方・見方につながっていくことになります。

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掘り下げの重要性

前回今回と「自らの考え」について書いてきました。

次回は「掘り下げ」について書いていこうと思います。

僕は常々、トレーナーとしての知識では解剖学・生理学・運動学がなにより大切だと思っています。

しかし解剖学・生理学・運動学こそ改めて勉強し直そうとしない人が多い印象です。

これは源泉から掘り下げる考え方ではなく、上に上に新しい知識を積み重ねようとする人が多いからでしょうか。

積み重ねようとしている人は「基礎」には惹かれないものです。

ということで、次回は掘り下げについて。

次回またはその次には基礎知識を学ぶためのオススメの図書も紹介できればと思います。

この記事に関するコメント・質問はTwitter(@Re2054)にて受け付けています。

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この記事からさらに学ぶには

哲学用語について学びたい

  1. 古代哲学から近代哲学までの数多の哲学者や彼らが提唱した哲学用語などについて学べます。イラストで説明してくれるので非常に分かりやすい本となっています。

デカルト周辺について学びたい

パーソナルトレーナーには以下をオススメします。
1.デカルトそのものへの入門編
2.デカルトはさまざまな誤解をされてきたということで先にこれを読んでおくのもオススメ
3.デカルトメインではありませんが、デカルト的世界観や思想史を読むことができます

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